Oh!生きもの―生物のみごとなしくみ

Oh!生きもの

遺伝の仕組みをドーナツ屋さんの例えで説明してしまった画期的な本です!

 この本は、掛け値なしに素晴らしい本です。
 この分野に全く関わりのない方でも、分子生物学・遺伝のことが楽しく易しく理解できてしまいます。クリスマスには間に合いそうにありませんが、冬休みのお子様へのプレゼントにいかがですか?
 
 生命の不思議に対する知的好奇心を刺激されること間違いなしだと思います。

 DNAの遺伝情報がRNAを介してアミノ酸合成にいたる仕組みは、分子生物学に多少でも関わっている人なら誰でも知っている基本的概念です。このRNAのうち、どのアミノ酸を合成するのかを決定する伝令役のRNA(メッセンジャーRNA:mRNA)は三つ組みの配列で遺伝情報を伝えます。この三つ組みの配列は「コドン」と呼ばれます。

 本書では、この仕組みを「二十種類のドーナツを販売するドーナツ屋さんが四色の洗濯バサミを使って、ドーナツの注文を厨房に伝えて箱詰めにする」という説明の仕方で、誰にでも分かるように、しかもとても面白く解説してしまったのです。

 今年の麻布中学の入試問題で、このコドンの概念を利用した問題が出ていました。

 私は、何となく体に染みこんだ当たり前の考え方のように思い込んでいたので「簡単じゃない?」と軽く考えていました。でも、冷静に考えてみれば高校生〜大学生レベル以上の概念を利用した問題なわけです。「難しい」と大分評判だったようなのですが、当然です。
 でも、あの問題は、もしかしたらこの本を読んでいれば簡単に解けるのではないかと思います。


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 真核細胞(ヒトなどの細胞)では、DNAの二重らせんはいったんほどけた後、相補的配列の一本鎖のRNAとくっつき(転写)、その後、DNA情報の余分な部分(イントロン)が取り除かれ(RNAスプライシング)、短いメッセンジャーRNA(mRNA)になります。
 そのmRNAはは三個一組の塩基配列から成り、コドンと呼ばれます。
 このmRNAの情報が転移RNA(tRNA)を経てアミノ酸に翻訳されるのです。その際に、リボゾームRNA(rRNA)と呼ばれる別の蛋白質合成装置の関与が必要です。

 この複雑な仕組みの中で、mRNAの三つ組みの配列(コドン)がアミノ酸を決定するというのが重要なポイントです。

 DNAのヌクレオチドはATCGの4種類ですが、RNAのヌクレオチドはAUCGの4種類で、この4種類の組み合わせは計64種類あります。

 64種類のうち3種類のコドンは、「ここでタンパク合成ををやめろ」という命令を出す停止コドンなので、「アミノ酸をつくれ」と命令するコドンは計61種類です。アミノ酸の種類は20種類なので、ひとつのアミノ酸をつくる「指令」には複数の種類があるわけです。

 図解すると結構簡単な概念なのですが、言葉で書くと分かりにくいですね(私の文章力のせいもあって)。その点、本書はものすごく分かりやすく上記の内容を解説しています。

 本書は、子供向けの本ですが、イラストも美しく、小学校高学年くらいの科学好きのお子さんから大人まで、ものすごく楽しめる本だと思います。いい加減なところは全くないので、この分野を専門にしている方ですら、きっと感心すること間違いありません。

 ピンポイントの針の穴を更にどんどん深くぐりぐりと掘り下げていくような大人の世界の研究活動に疲れた心に、少年少女の時代の夢を取り戻してくれるかもしれません。
 中学・高校の教師をされている皆様にもとてもお勧めの本です。

 小さい頃に、この夢のある本に触れれば、もしかしたら将来は分子生物学者になろうと思うお子さんが大勢出てくるのではないかなと思える、そんな本です。
 科学分野のこういう本が沢山出版されることを切に希望いたします。

 発展学習にはコチラ。
  言わずと知れた分子生物学の世界的定番教科書です。
  2004年11月に邦訳第4版出ました。

細胞の分子生物学
 今までこの分野に無縁な方ですら、興味があれば通読しても楽しい、ストーリー性のある優れた本です。 
 

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