1001 Ways to Be Romantic

 「マニュアル人間」というのは、普通はどう考えてもあまり誉め言葉ではない。これはすなわち、「何も考えていない」ということの同義語である。
 しかし、アメリカ人は分厚いマニュアル作成が大好きである。
 その一因として、アメリカが実のところは多民族国家であるということがあるだろう。

 従って、かの国では「マニュアル化」なしには多種多様な人の価値観をまとめあげることは無理であろう。
 何故なら、阿吽の呼吸でモノを伝えるということが成立しないからだ。 
 ある程度「客観的」な規則をつくりあげ行動をフローチャート化する以外に、人々が共通認識のもとに行動することは不可能である。

 本書は、本書は男女両性に向けて、
 「ロマンティックになる1001の方法」を指南しているマニュアル本である。 こういう種類の書籍は、アメリカだけではなく、日本でも沢山発行されているが、殆どのものは全く実用性に欠ける。
 というより、それをそのまま実行するとかなり「まずい」のではないかと思うものが殆どである。
 はっきり言わせてもらうと、このようなことを書籍で学ぼうという姿勢自体に根本的な問題があるのだろう。

 だが勿論のこと、こうした書籍の殆どは一種の冗談本であるから、これを真に受ける人は、まずいないだろう。
 そのような冗談本としては、この本は最高傑作の「おかしさ」を誇る。
 抱腹絶倒の一冊であることは間違いがない。
 しかし、その中に部分的にであるが中々鋭い一抹の真実を含んでおり、「ほろり」とさせるところに、著者の手腕を感じてしまう一冊である。

 ともかく、本書で推薦されている1001種類の「ロマンティックになる方法」のうち、私が特に「最悪」だと思ったものをまず列挙しよう。


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 ワースト1
彼女にグリーティングカードの代わりにあなたの履歴書を送りましょう。そして、そこに「僕のことをあなたにもっと良く知ってもらおうと思います」と書き添えましょう。ついでに、あなたの小学校時代の成績表と赤ちゃん時代の写真を一緒に送りましょう。

 感想:はっきり言って、これを実行したら、かなりの危険人物だと思われると思う。まれに見る最悪の行動だ。
考えてみれば、「お見合いの釣り書」というのはこのようなものである。そうしたシステムのないアメリカでは自分を自ら知らしめるために、他人を介さずこうした行動に出るしかないのかもしれないが…。
しかし、国は違っても、常識のあり方は多分同じであろう。「自分を知ってもらうことが大切」であるという発想は正しいが、方法論に根本的な間違いがある。
 コミュニュケーション能力ゼロの人物と認定され、二度と口を聞いてもらえなくなる可能性大の手法であることは間違いがない。

 ワースト2 

 彼女の20歳の誕生日には20個の「ぬいぐるみ」を贈ろう。
 
 彼の30歳の誕生日には30本の赤い薔薇を贈ろう

 彼女の40歳の誕生日には「あなたが彼女を愛する40種類の理由」を送ろう。
 
 彼の50歳の誕生日には50個の風船を送ろう。

 彼の60歳の誕生日には60枚のグリーティングカードを送ろう。

 彼の70歳の誕生日には70本のひまわりを送ろう。

 
 感想:薔薇、ひまわり、風船などのいわゆる「消えもの」はとても「良いアイデアだと思う(それにしてもアメリカ人は、大人でも風船が大好きである)。
 でも、20個のぬいぐるみをもらったら、多分、ものすごく迷惑であろう。やめておいた方が、まず無難である。
 それから、「彼女を愛する40種類の理由」は悪くはないとは思うのだが、人が人を愛するのにはあまり込み入った理由はないから、それを40個も考えるのは、ものすごく大変である気がしないでもない。
 「60枚のグリーティングカード」というのもちょっと…。カードの枚数よりも、どちらかというと、心のこもった言葉で勝負したい。
 しかし、これらの個別のアイデアはともかく、「幾つになっても相手に対して愛を表現することを忘れない」というのは、見習うべき姿勢である。

 ワースト3
”自分の誕生日に、あえて(プレゼントをもらうのではなく)彼女にプレゼントを贈って驚かせよう。そうすれば、「受け取るよりも与える方が楽しい」という真実を知ることが出来る。”

 感想:こんなことをされた彼女は、「何故そんなことを…」ものすごくとまどうと思う。最悪な場合「お前は気が利かないな」と、暗にほのめかした嫌味な行動と思われる可能性すらある。
 自分の誕生日には、ありがたくプレゼントを受け取るほうが無難であると思う。

 ワースト4
 ”ダイアモンドの指輪を薔薇のつぼみの中に入れて彼女に送ろう。
そうすれば、2日後にその薔薇が咲いたとき、中からダイアモンドの指輪が薔薇の香りと共に出てくるというわけだ(お勧めプロポーズの方法)”


 感想:ロマンティックにしようとする心意気は悪くないと思う。
でも、彼女がリングの存在に気付く前に、薔薇が傷んで捨ててしまったらどうするつもりなのだろう。実際のところ、薔薇の切花は痛みやすくつぼみのうちに枯れてしまうことが多い。
 それに何も、プロポーズする位の関係なのであれば、ここまで凝らなくとも、もっとストレートにいった方が良いのでは?と思う

 ワースト5 
 ”彼女の職場に「下着」を送りつけよう。もし彼女が午前11時にそのプレゼントを開けたとしたら、とまどいから立ち直るのに丸一日かかるであろう。わくわくする考えだ!”

 感想:下らなすぎて私なら笑ってしまうかもしれないが、常識的に考えると、これは本当に史上最悪のアイデアだ。はっきり言って、ものすごく迷惑だと思う。絶対にやめた方がいいと思う。親しき仲にも礼儀あり。「もらった方は全然わくわくしない」ということに思い至るという想像力に欠ける。
これはどちらかというと「彼女に嫌われる1001の方法」という本に記載すべき内容だ。
 
10日間で男を上手にフル方法
 「記事のために彼女をつくる」男性雑誌記者と「記事のために男性を振る」女性雑誌記者が知り合い、互いの目的を果たすためにおりなすロマンティック・コメディー。

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 次に、別に「ワースト」ではないが、結婚しているカップルに対する「アメリカらしいな」と思うアドバイスを列挙してみる

 ”子供たちを、夏にはサマーキャンプに送りこもう。そうすれば、あなた達の結婚はかつてのようにロマンティックによみがえります!”
 
 感想:結婚したとたん「父母」「家族」に完全になりきってしまう傾向のあるわが国の人々は、これを部分的に見習うのも悪くはないと思う。しかし、普通に考えると「恋」は「愛」に変質するのは、ある意味正常な過程であり、愛の「量」ではなく「質」の問題である。従って、そんなに無理にロマンティックにならなくても良いような気もしないでもない。
 しかし、「ロマンス」を忘れたら離婚につながる欧米ではこの心がけは極めて重要なのであろう。
 確かに、アメリカの子供たちは皆、「サマーキャンプ」に参加する。
 現代では「大家族単位、地域ぐるみの子育て」は失われている。
 この核家族化の時代には、子供と親の関係が過剰に緊密になりがちである。 そうした現状から、「ロマンティック」より何より、「大人が大人の時間」「子供が子供の時間」を取り戻す時間をあえて確保するということが、健全な子育てや親子関係に必要になってきている時代なのかもしれないとは思う。

 ”ベッドルームのドアの外側に「DO NOT DISTURB(邪魔しないで下さい)」という札をかけよう。あなたちの子供たちには「ONCE UPON A TIME 昔々あるところに(という童話の出だしの一節)」を教える前に、まず最初に「DO NOT DISTURB 邪魔しないで下さい 」を読めるようにさせよう。”

 感想:そんな札をわざわざかけること自体、日本人には出来ない行動であろう。それにしても、欧米のカップルは「まず夫婦」でないとやっていけないのであろう。であるから、「男と女」のような映画が成立するともいえるのだろうが…。
 
男と女
 子供を寮制の寄宿学校に通わせている大人の男女が、子供の送り迎えを通じて知り合い恋に落ちるが…。恋愛映画の「雛形」の大定番。家族というのが「個」の集合体である欧米でないと成り立たない恋愛の形であるとも言える。


 ”子供たちの誕生日に妻にもついでにプレゼントを贈ろう。”

 感想:しつこいようだが、「誕生日プレゼント」に関しては、自分の誕生日に何かをもらうだけで良いような気がする。そんなに気を遣われても…。
 何事においても、過剰な媚びと迎合は禁物である


(上記引用文の翻訳は全て by小枝)
  
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 このように、本書は、まったく役に立ちそうがないし、暇つぶしにしても虚しくなるような内容のオンパレードである。
 本当に暇な時には最適であるが、どっと疲れてしまっても責任はもてない。
 恐らく、まさか、いくら明快さを好むアメリカ人でも、これらを真に受けることはないであろう。
 上記のような内容以外の「ロマンティックになる方法としては、
木の幹にあなたと彼女のイニシャルを彫ろう」など、中学生並み(?)のアイデアも満載である。
 
 これらの「あまりの馬鹿馬鹿しさ」によって、考えるきっかけをもらえるという不思議なタイプの本であり、私としては、決してけなしているつもりはない。
 興味のある方は、是非一度、お手にとってみていただければ幸いである。


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