いっしょにいると疲れる人―「くされ縁」の人間関係の研究
 同姓同士、異性関係を問わず、どうにもならない人間関係に一度は悩んだことがある人が読んだら、恐らくすんなり読める本だと思う。しかし、悩みに対して、直接的に心が癒される類の本ではない。どちらかというと自分の悩みを自己分析することで解決したい人向けの本であろう。
 これだけは間違いないと私が思うことは、思う存分自己実現が出来る満たされた人生を送るために大切な要素の一つは、自分にとって全くためにならないネガティブな人間関係を思い切って断ち切ることである。それは、「つきあいの悪い人になれ」とか「協調性などなくても良い」という意味ではない。自分の精神状態に重大な悪影響を与える人間関係は、いかなるものでも、きっちりと整理すべきであるという意味である。

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 お互いに蔭で悪口をいいながらずっと一緒にいる女性の親友同士というのが私は昔から不思議でならなかった。私には、ただでさえ忙しい毎日にそういう面倒な関係を持ち込む趣味はない。
 そういう人たちは、一体何を求めているのだろう?と不思議であった。
 しかしある時、私もそういう女性に「魅入られて」巧みに近寄られて来て非常に困ったことがある。異性に交際を申し込まれたなら、本当に興味がなければ、「ゴメンナサイ」の一言で断ることが出来るが(勿論例外もあるが)、友人関係のアプローチを断るのは極めて難しいからだ。普通、同姓の友人同士は、何となくひかれ合って友人になるはずなのに、私の強い違和感に関わらず強引に近寄ってくる彼女の心理が分からなかった。これを受け入れると、よくありがちな、私が嫌うところの奇妙な女性同士の人間関係が形成されてしまうと思い、悩んだ末、ある時きっぱりと決心して、彼女と距離をおくことにした。
 そのために、彼女は傷ついたのか?答えはノーであった。彼女のしたことと言えば、次に私以外のターゲットを決めて、全く同じように近寄っていっただけだった。彼女は単に自分にとって都合の良い友人を手に入れたかっただけで、相手は私である必要は全くなかったのだから。
 本書の第二章「女性のヴァンパイアと女性の犠牲者」には、こうした女性同士の友人関係に風穴をあける方法のヒントが書いてあるので、心当たりのある人は是非読んでみて欲しい。
 誰もが、自分が心地良い人間関係を築くことによって、人生を豊かに過ごすことが出来るはずなのに、他人の心の闇の罠にはまってしまっている人は多い。
 この本でいう、「心の闇を抱えていて周囲の人を食い物にする人」とそれによって迷惑を被っている人の関係は、端的にいうと、境界型人格障害とその周囲にいる共依存関係の被害者の関係を語っているように私には思えた。
その分野に興味のある方は、是非、一読してみて欲しい。
 ただし、専門書をかなり読まれている人には当たり前の内容に感じられるかもしれないので、つまらなかったらごめんなさい。その場合も、「こういう切り口の説明の仕方もある」という面での参考になると思う。
 最後に本書を読むタイミングについて私見を述べさせていただく。
 トラブルの渦中にある方が、この本を手に取ると、この本のせいで「本当に疲れてしまう」可能性もある。そういう時は、休暇をとって旅行にでも出かけるか、せめておいしいものを食べるなり、美しい花でも眺めた方が良い。
 ある程度、トラブルが落ち着いて、自分を見つめ直したいなという客観性がでたタイミングで読んだ方が良い本であると思うので、ご注意願いたい。
 また、本書では、多くの西洋の古典的な素材をモチーフとして多くとりあげている。その点に違和感を感じる方とそこが魅力!と思う方に二分されるように思うので、多少好みが分かれる本であると思う。

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