動く遺伝子―トウモロコシとノーベル賞
バーバラ・マクリントックという、ノーベル生理学・医学賞受賞者を受賞した女性科学者の存在を知っている人はそう多くないようだ。
そもそも、「自然科学分野でノーベル賞をとった人って、キュリー夫人以外にいるの?」と思っている方も珍しくないと思う。彼女の生涯は、卓越した研究成果の割には、それにふさわしい「出世」には全く恵まれないものであった。そういう意味では、男性社会の中で壁を感じている女性は、たとえ理系研究者でなくても、是非、この本を一読してみて欲しい。しかしそれだけではなく、ひとりの性別を超えた科学者の記録として面白いので、理系大学に在籍されている学生の方や研究者の方にも特にお勧めだと思う。

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それは、本書が決して「女性が男性社会の中でこんなに苦労しました」というフェミニズム的な視点から書かれた本ではなく、性別を超えた一科学者の物語と捉えても、充分に読み応えのある作品であるからだ。
そもそも、新しい科学の真理を見出すような人は、男女を問わず、既存の考えをふりかざす人々からバッシングを受けるのが世の常である。それらの逆風や途中の失敗をもろともせず、まっすぐに自分の信じた道を進むことが出来る人だけが彼女のような偉大な科学者になることが出来るのだ。
 科学分野以外の他の学問や、ビジネスの分野でも、恐らくそれは同じことであろう。であるので、新分野を開拓しようとして逆風にあっているビジネスマン(ウーマン)の方にも特にお勧めではないかと思う。
 また、ひとつのノンフィクションとしても緻密でとても優れた作品だと思う。その上、翻訳に関してもしっかりした科学的バックグラウンドのある翻訳者の方が訳されているため、正確でかつ、とても読みやすい。
読み応えのある、絶対お勧めの一冊である。

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